犬木加奈子のホラー自選集全3巻に収録されている28作の内容と読者の評判まとめ

「怖いけれどついつい読んでしまう…」

そんな漫画を得意とするのがホラー漫画家「犬木加奈子」さんです。

デビュー35周年、第一線どころか国境まで超えて活躍されている「ホラーの女王」。

そんなホラーの女王が選んだ傑作自選集がこちら。

犬木加奈子著『犬木加奈子ホラー自選集』全3巻（双葉社）

この自選集について主に次のことをお届けします。

• 全3巻に収録された28作のラインナップや見どころ
• 読者の評判
• 無料で読む4つの方法
• 新作やホラー以外のおすすめ作品

怖くてどこか懐かしい、ホラーの女王の魅力に「憑」かれてみましょう！

多少のネタバレを含むので未読の方はご注意ください。

『犬木加奈子ホラー自選集』1巻のラインナップ＆見どころ

ご存知ホラーの女王である漫画家犬木加奈子さん。

そんな犬木さんが選んだ作品集である『犬木加奈子ホラー自選集』1巻のラインナップや見どころなどをご紹介します。

1巻の見どころ①ちょっと明るいたたりちゃん

大きな見どころはやはり乃呂井翔くんをパートナー（？）にしたたたりちゃんが活躍する「新・不思議のたたりちゃんシリーズ」。

クラスメイトからまずいお菓子を食べさせたり、お祭りに呼び出して待ちぼうけにさせられたり、先生のねたみのせいで授業参観で恥をかかされたりと散々なめに遭わされますが、きっちり「たたり」でお返しする流れです。

ただ10話目「そら耳地獄」ではケイタイというツールを使って少しだけクラスメイトと仲良くなったり、留守がちな父と繋がったりできてほっこりします。

巻末のあとがきではたたりちゃんの誕生秘話が明かされています。

また作者は、たたりちゃんで描いたのは「大勢の中の孤独」だとしていました。

この孤独は多くの読者から共感を集め、作者のもとにはいじめや家庭に悩みを持つ子たちからたくさんの声が届いたそうです。

その声にたたりちゃんが応えていく「お悩み相談室　たたりちゃん交換日記①～④」も興味深いです。

同じように悩んだり苦しんだりしながらも生きている仲間がいる、たたりちゃんはそんな子の友達でいてくれる、この事実に救われる読者も多いのではないでしょうか。

【補足】『不思議のたたりちゃん』とは？

『不思議のたたりちゃん』は講談社の「少女フレンド」で連載されたホラー漫画、全7巻。

中学生の神野多々里（かみのたたり）はその暗さゆえか不気味さゆえか、いつもクラスの誰かに嫌なことをされるイジメられっ子。

たたりちゃんはみんなと仲良くしたいので大抵のいじめには耐えます。

しかし、我慢の限度を超えたとき、たたりちゃんがイジメっ子に「たたり」を返す…！

たたりちゃんが毎回色んなパターンでいじめられてしまうのは悲しいですが、悪いことをすれば返ってくるという法則には少なからず安心できます。

2000年には『フシギのたたりちゃん』というタイトルで実写映画化を果たしました。

1巻の見どころ②怪子ちゃんの心細さ

妹が生まれるまで祖母に預けられていたこと、楳図かずお好き、後にホラー漫画家になることなどが共通しているため作者の自伝的作品とも言える「怪子ちゃんシリーズ」。

ここにもたたりちゃんと同様、幼い頃の孤独と不安、心細さがふんだんに描かれています。

夢で飛んでいて落下していくときの怖さ、夜一人でトイレに行く怖さ、食べれないけれど残せない給食の怖さなど、多くの人が「あるある」と共感できますよね。

作者もまた多くの孤独と恐怖を感じていた「たたりちゃん」だったと分かる作品です。

しかし、確かに怖いけれど大人になった今はノスタルジーが勝るように感じます。

1巻を読んだ読者の評判

Amazonの評価は☆3.6でしたが、コメントを残している方のコメントを読む限り、概ね高評価。

電子書籍配信サービス「Renta！」のレビューや読書履歴管理サイト「読書メーター」の感想でも悪い反応は少なかったです。

懐かしい、昔の方が怖かったという感想が多いです。

怖さの思い出補正がかかっているのかと思いましたが、『不思議のたたりちゃん』1巻と比較すると確かに自選集に収録されたたたりちゃんはちょっとポップな感じでした。

新旧たたりちゃん比較^[1]上：『不思議のたたりちゃん』（講談社）1巻1話、下：『犬木加奈子ホラー自選集』（グループ・ゼロ）1巻1話より引用、巻数話数は追記

たたりちゃんも長い年月を超える内に明るく、たくましくなったのかも…？

『犬木加奈子ホラー自選集』2巻のラインナップ＆見どころ

『犬木加奈子ホラー自選集』2巻のラインナップや見どころなどをご紹介します。

2巻の見どころ①真・不気田くんのラスト

2巻最大の見どころは「真・不気田くん」のラストです。

ACT.2では、保護者となって不気田を守ってきた山田が死去。

いつの間にか山田の存在が自分の中で大きくなっていた不気田。

これ以上大事な人を喪うのが怖くなり、不気田に呪いをかけた女アラクネの生まれ変わりの少女・奇子（あやこ）を見守るだけの存在に。

眠る奇子を優しく運ぶ不気田くん^[2]『犬木加奈子ホラー自選集』（グループ・ゼロ）2巻ACT.2より引用

好きな女性を監禁したり、傷つけてきたりしてきた不気田がこんな風に変わるとは…！

最初に『不気田くん』を読んだときはこんなにも美しくまとまるなんて想像できませんでした。

【補足】『不気田くん』とは？

『不気田くん』とはOVA化も果たし、後年には続編を描くためにクラウドファンディングも行われた犬木加奈子の代表作の一つ。

目をつけた女子を追い掛け回す不気味な少年「不気田くん」が主人公の物語。

女子の視点で見ていると不気田くんには怖さしかないのですが、彼には大きな秘密があり、それを知ったあとはもう狂気のストーカーには思えません…。

不気味なのに切ない、不気味だけれど放っておけないという新しい感情をくれます。

『不気田くん』は単行本全3巻で完結していますが、続編シリーズに『真・不気田くん』、『不気田くん 時の流れに…』などがあります。

作中では報われない不気田くんですがリアルのファンは多く、オークションでは紙の単行本が高値で取引されています（電子化前はもっと高かった…）。

OVAの不気田くんの声が人気声優の山口勝平さんだったのもファンを増やすことに一役も二役も買っている気がします。

ちなみに自選集に収録された不気田くんの話は『真・不気田くん　愛蔵版』にも収録されているので、不気田くんだけをいっぱい読みたいという方はそちらもチェック！

2巻の見どころ②踊るクイーンに作者登場

この巻からあとがきがありません。

ただ5話「踊るクイーン」に、スペードの女王として「ホラーの女王」が登場してうまく2巻をオトしてくれます。

また、「踊るクイーン」にはほかにも3人のクイーンが登場。

• 多くの男子からモテる「ハートの女王（クイーン）」姫子の悲恋
• 大金持ちの宝子「ダイヤの女王」がお金のせいで友達か親かを選ぶ話
• 幸せを引き寄せる「クローバーの女王」光子が本人だけは幸せになれない話

どれもテンポがよくて手に汗を握るような読み応えがあります。

亡くなってしまうようなはっきりした結末でなく、絶望が一歩手前まで来ているという終わり方が犬木加奈子さんの真骨頂だと再認識できました。

2巻を読んだ読者の評判

不気味くんファンにとても評判が良かった2巻。

3巻ある自選集の中で特にレビューの数が多く、Amazonの評価も☆5と満点評価でした。

電子書籍配信サービス「Renta！」や「コミックシーモア」のレビュー、読書履歴管理サイト「読書メーター」の感想でも不気田くん目当てで購入したというコメントが散見していました。

やはりみんな不気田くんから目を離せないのですね！

『犬木加奈子ホラー自選集』3巻のラインナップ＆見どころ

『犬木加奈子ホラー自選集』3巻のラインナップや見どころなどをご紹介します。

3巻の見どころ①子供の怖いものと大人の怖いもの

3巻はメジャー作品の登場人物が出てくるのではなく、子供から大人までの様々な怖さを描いているといったものでした。

読んでいると、「そうだった。こういうのが怖かったし、今も怖い…」と思い出すことができます。

少女が主人公の「憑きもの」では扉の向こうの訪問者、あと逃げても逃げても追いかけられるということ、青年が主人公の「熱帯夜のちょっと涼しい談」なら怪談も怖いけれど実際の人間も怖いということ。

「ヒューマン・ブリッジ」は催眠術師が出てきます。

知らず知らずのうちに人の心を操る催眠術師は、そういえばその存在が不思議で少し怖い…。

「七つめの怪談」は学校の怪談をテーマにしていて…これの怖さは説明不要ですよね。

3巻の見どころ②優しくて切ない屋根裏の幽霊

ラストを飾る「屋根裏の幽霊」は怖いけれど優しく、切ないストーリーで特におすすめです。

この世のものではないものを見る少女ミル子は周囲にそのことを信じてもらえず独りぼっち。

両親はそんなミル子を心配し、生活環境を変えるため古い家に引っ越します。

しかしその家には幽霊らしき少年幽一がいて、幽一がミル子の話を聞いてくれると、二人には絆が育まれていきます。

孤立していた少女、親に愛されていないと思っていた少年、実は息子を心から愛していた父など、色々な立場の人間が描かれています。

そのため世代や立場によって誰に感情移入するのかが変わり、年齢を重ねれば見方も変わるはず。

実は息子を何よりも想っていた父^[3]『犬木加奈子ホラー自選集』（グループ・ゼロ）3巻5話「屋根裏の幽霊」より引用

何度も繰り返し読んでもらいたい作品です。

3巻を読んだ読者の評判

3巻はやはり5話「屋根裏の幽霊」の話の評判が良く、Amazonの評価は☆4.7でした。

切ない、うるっときた等、心に響いた方が多かったようですね。

また、全体的にはサクサク読めるという意見もあり、犬木加奈子さんが選んだ作品は構成まで秀逸だということが分かりました。

『犬木加奈子ホラー自選集』を無料で読む4つの方法

『犬木加奈子ホラー自選集』はちょっと古い作品で、残念ながらメジャーとも言えません。

そのため電子書籍配信サービス、漫画サイトorアプリでも取り扱っているところは限られています。

しかし、次の4つのサービスなら『犬木加奈子ホラー自選集』を無料で読めます！

1. LINEマンガ
2. ピッコマ
3. Kindle Unlimited 読み放題
4. ブック放題

一つずつ見ていきましょう。

※2022年現在の情報のため、詳細は公式サイトでお確かめください。

※通信料や電気代などのコストは各自ご負担となります。

無料で読めるサービス①LINEマンガ

話題作、独占配信作品が強い漫画アプリ「LINEマンガ」。

1話～5話は無料、6話以降は「毎日￥0」、毎日1話ずつなら無料というサービスで最終話まで読めます。

無料で読めるサービス②ピッコマ

漫画やラノベ、独占先行配信の数も豊富なアプリ「ピッコマ」。

1～3話は無料、4話以降は「待てば￥0」、毎日1話ずつなら無料というサービスで最終話まで読めます。

無料で読めるサービス③Kindle Unlimited 読み放題

なんと200万冊が読み放題になるサービス「Kindle Unlimited」！

初めての利用限定で30日間の無料体験可能（継続すると月額980円）。

この読み放題作品の中に入っています。

無料で読めるサービス④ブック放題

雑誌700誌、漫画4万冊、漫画雑誌80冊が読み放題になるサービス「ブック放題」。

1か月の無料体験期間あり（継続すると月額550円）。

この読み放題作品の中に自選集も入っています。

犬木加奈子の新作やホラー以外でおすすめは？

犬木加奈子さんは今も怖い話を描きつづけています。

例えばまんが王国で配信されている『サバイバー～破壊される子供たち～』（ビーグリー）という虐待を生き抜いた子供たちの話があります。

また、ホラー以外にも色々と発表されていてそれもまたいい味です。

フランス革命という激動の時代を生きた少女を描く『アロエッテの歌』（ぶんか社）、鉢をかぶる謎の下働き「阿蘭」をめぐる『罰かぶり～丸山遊郭哀史～』。

ここらへんはもの悲しくも美しい物語です。

たたりちゃんの驚きのアフターストーリー『ママ友はたたりちゃん ～親同士のイジメ・カースト・マウンティング～』（サイゾー）、作者が地元愛をホラー漫画家らしく見せつける『埼玉最強伝説』（笠倉出版社）らへんはくすりときます。

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まとめ

ホラーの女王と名高い犬木加奈子さん、およびその傑作選『犬木加奈子ホラー自選集』（双葉社）について見てきました。

主に自選集の内容や見どころ、評判感想、無料で読む方法をご紹介。

全3巻の自選集には巻ごとにそれぞれ特徴があり、味わい深いものとなっています。

怖さで涼を取ることもできますがそれ以外の感情もたっぷり得ることができるはず。

以上、「犬木加奈子のホラー自選集全3巻に収録されている28作の内容と読者の評判まとめ」をお伝えしました。